人材不足という課題

介護業界の課題は、高齢化が進み利用者が増える一方で、介護職員の供給が慢性的に不足して深刻な問題となっていることだ。人材不足によりサービスの質が低下した介護現場も多く、解決が急がれている。
人手不足の原因は低い給料や夜勤を含む激務と言われ、人手不足が休暇を取れない劣悪な労働環境をもたらし、益々離職者が増えるという悪循環に陥っているのだ。本来の介護勤務以外にも介護報酬請求など事務仕事も多く、現場の介護職員を疲弊させる要因となっている。
もちろん介護職員が環境を整えている介護現場もある。だがそういう求人は応募者も多いため、求人を勝ち取るための工夫と努力が必要だ。

国は国内だけでは解決が難しいとして外国人労働力の活用も行っており、技能実習制度を活用してベトナム・インドネシア・カンボジアからの人材導入に力を注いでいる。ただし、技能実習制度は雇用期間が短く、安い労働力として単純労働に利用されるだけで終わるという弊害も無視できない。
一方で、フィリピンについてはいち早く経済連携協定により、優秀な人材を受け入れる試みがされてきた。

経済連携協定では現地で高等教育を受けた優秀な人材が選抜されるため、日本で国家資格を取得して現場でもそん色なく働けると期待されていた。経済連携協定は技能実習制度と異なり長期雇用が可能で、訪問介護など幅広い福祉分野で活躍できるものである。
看護師や介護福祉士の資格取得を行政機関が支援し、国内の人材不足を補う策として導入に尽力してきたが、やはり外国人が日本語で行われる国家試験に合格することは容易ではない。外国人の合格者が少なくて、到底人材不足を解消できるレベルには至っていないのが現状である。