介護スキルの個人差拡大問題

超高齢社会に突入した日本。介護ビジネスに新たに参入したり、社会的に力を注いだりしている企業も多く、介護関連の知識や技術を学習できる教育機関も増えている。
一方でこうしたムーブメントが結果、各々の現場で介護職に従事する人材のプロ意識、そしてスキルの個人差を広げているのも事実である。表向きは介護サービスの提供を謳う看板を掲げながら、実際にはほとんど実働していないケースも散見されるなど、利用者だけでなく介護職希望者にとっても、残念な傾向が否めないのが現状だ。

この傾向が結果として、提供される介護サービスの格差につながっている悪循環は、早急な改善が求められる課題であり、ここで鍵となるのが人材教育システムの見直しだ。
介護サービスを提供する現場として、とりあえずの人員確保を優先せざるを得ない状況は、全国各地で散見される問題点である。本来であれば先輩が施す現地教育を通じ、後輩が経験値とスキルアップを重ねて行くべきところ、このプラスの作用が期待できない介護職の現場が、日々その数を増やしているのが現状なのだ。

不十分な教育で現場に配置される職場環境では、介護職に従事する側も、介護を受ける顧客すなわち要介護者にとっても、質の高い介護サービスは期待できない。
同サービスを提供する企業あるいは組織は今一度、各々が提供するサービスの質に視線を合わせ、介護職従事者に施すべき教育システムの再構築に着手すべきであると言われている。人材の質が高くなればサービスの質も高まり、今後の中長期的な市場発展にも期待できるだろう。